ロックダウン31日目
今朝目を覚ますと雨が降っていた。ベッドで横になっている時に聞こえる雨の音が好きだ。自然が鳴らすヒーリングミュージックを聴きながら、久しぶりに長い二度寝をした。
起きてキッチンへ行くと湖と山に虹がかかっていた。虹は、大地を潤してくれた雨への褒美だと思う。
さて、いよいよインド旅編も終盤である。前回のつづきを綴っていく。
布生地屋のオーナーに夕飯を誘われたので、時間まで部屋で休憩しながら待った。7時頃に彼がロビーまで迎えに来た。
オーダーしていたワンピースを受け取り、街へ出た。女性の夜一人歩きは絶対におすすめできないがローカルのおじさんが一緒なだけで安心感があった。彼が、僕のイチオシの人気レストラン(カレー屋)に連れてってあげると、自信満々に言うので徒歩で向かった。
着いたレストランと呼ばれるそれは、大衆食堂のような雰囲気を醸し出していた。
彼曰く人気レストランらしいが他に客はいない。
おじさんの粋な計らいで私たち二人の為に貸し切りにしてくれたのかなと、余計な妄想をして自分を落ち着かせた。
それにしても若干不気味である。(後に2組来店し安堵した)
気を取り直してカレーをオーダーした。しばらくして軽く2人前はあるであろう大盛りカレー&ライスが運ばれて来た。
それを黙々と食べ始める私たち。
、、、、、、、
無言の時間が続く。非常に気まずい。
いくつか私がたわいもない質問を投げかけるも、返答したあとは会話がそこでかならず途切れる。
おかしいな。あたかも私が無理矢理おじさんを食事に誘ったようなシチュエーションになっている。
食事のときは、瞑想状態で無言になる習慣なのかもしれないなと自分を納得させて、私もとりあえず黙ることにした。
一刻も早く目の前の大量カレーを完食して帰りたい。無言でひたすらカレーと向き合う日本人の女とインド人おじさん。
異様な光景である。
苦しみに耐えながらなんとか完食し、帰りはトゥクトゥクでゲストハウスまで送ってくれた。とりあえずごちそうになったのでお礼を伝えてロビーに入ろうとすると、おじさんが
良かったらコーラでも飲みながらロビーで話さないか?と誘って来た。
なぜ。
話したいことがあったならさっきのレストランでいくらでも時間あったでしょうに。
もう無言のノンアル2次会に耐えれる自信ないわ。と心が悲鳴をあげた。
するとロビーのソファに腰掛け、こちらの承諾もなくコーラ頼んじゃったよね、おじさん。自由すぎるよ。
それと私コーラ好きじゃないんだなあ。
インド人おじさん×無言×コーラ=地獄 である。
しかし、コーラを飲みだすと先ほどの無言おじさんは、たちまちおしゃべりおじさんへと化した。
コーラにクスリでも入ってるじゃないかと怖くなり、ほとんど口をつけなかった。
今度は一方的におじさんが語りだした。トークテーマは過去の恋愛について。正直興味が湧かなさすぎて聞いているだけなのにきつかった。元カノが日本人の女性だったそうで、今でもたまに連絡が来るが復縁はするつもりはないと。
なぜなら、、、(セクシャルトーク開始)内容は省略するにふさわしい。
そして一通り色恋話をしたおじさんは満足したのか、コーラ代を支払わずに帰っていった。
長い長い1日がようやく終わった。シンプルに意気銷沈である。
そして翌日のチェックアウト時に二人分のコーラ代を一緒に請求されたのだった。
ジャイプールを出発する前に、カーンがお土産タイムに付き合ってくれた。彼の知り合いのお店にも連れて行ってくれ、良質でローカル価格のスパイス屋さんなど最後の最後まで楽しませてくれた彼には感謝の気持ちで一杯だった。
またインドに行くことがあれば、ジャイプールを訪れカーンファミリーとの再会を果たしたい。ありがとう。
彼と握手をしてジャイプールをあとにし、列車で次の目的地へ向かった。
つづく