まめおがやって来そうなサインがまだないのを良いことに、毎日外出の予定を決めて、さんぽと称して出かけている。
そんな一週間の始まりの月曜日。
無性にポテトチップスが恋しくなった。時間もあるので家でつくってみたくなった。
じゃがいもと油と塩さえあれば出来るのだが、包丁で等間隔に切るのは自信がないのでスライサーを買いにショッピングモールへ出かけた。
目的はスライサーだけのはずだったが、気づけば子どもの冬服や子育記録のためのノートなどを手に取り、レジで支払いを済ませていた。
ショッピングモールでの買い物は、目的外のものが短時間で膨大に視界に入りこんでくるので誘惑を断ち切る強い自制心が必要だ。
言うまでもなく自制心が足りない私は、いつもモールの思惑通りのカモになる。
ようやくスライサーをゲットし、帰宅。
夫が帰宅する頃に揚げたてのポテチを出して、良い妻を演出する妄想まで完璧だった。
スライサーの切れ味はいかがなものかと、すぐにじゃがいもを洗って調理に取りかかった。
1ミリから3ミリの厚さ設定まで自由自在なハイテクスライサーに感動し、まずはスタンダードに1ミリでやってみることに。
ジャガイモを軽くこする程度で気もちの良いテンポで、どんどんスライスされていく。
切れ味が良すぎて本当にスライスされているのか心配になり、何度も確認したほどだった。

超高性能のスライサー
そろそろスライスも終わりかけようと小さくなったジャガイモを勢い良く擦った瞬間、激しい痛みが伴い、赤い液体が指から吹き出した。
調子にのりすぎた結果、じゃがいもと一緒に中指もスライスしました。

なんか意図せず挑発的なポーズに
前回熱湯をかぶったときよりも痛みが強すぎるあまり、逆に声が出なかった。
すぐに流水し、圧迫止血を開始。
恐る恐る指を見てみると、指が凹んでいる!!!!!!!!!!!!!!!
スライサーと包丁での傷の違いを思い知った瞬間である。
すぐさま学校にいる夫にガーゼを買って来てもらうように緊急コールをした。
夫は産気づいた妻からの電話だと思ったらしく、指をスライサーで擦った!と慌てて報告するも、半笑いの冷静な声で学校が終わったら買いに行くね、と言った。
もっと心配してすぐに薬局に走ってくれるかと、心のどこかで期待を寄せた、虚しい悲劇のヒロインである。
とりあえず、擦って水に晒したジャガイモたちをそろそろキッチンペーパーの上に寝かせねばと、止血しながら残った指たちをふる稼動させて、ポテチ作りを再開した。どこまでも食い意地の張った女である。
こんな緊急事態のときでさえ、今日のブログのネタにしよう。とほくそ笑むことが出来ていたので、重傷ではなかったことが容易に伝わるだろう。
約40年の主婦人生の中で、猶に100回以上は包丁やスライサーなどなどで指を切った経験が豊富な人が、身近にいた。
私の母親だ。
小さい頃から大人になるまで、キッチンからいたああああああい!!!!!!!!という叫び声を何度聞いたか、はかり知れない。
聞き慣れ過ぎて、だんだんと他の家族たちの反応が薄れていくのが幼心にも理解できていたように思う。
自分も母と同じおっちょこちょいの血を引いていたらと思うと、血の気が引く。
止血中暇になったので、母に電話をかけた。
スライサーで指を擦ったと言っても、もちろん彼女は驚きもせず、親指で患部を30分は圧迫止血をするよう指導が入った。
これをすることでほぼ全ての傷が驚くほど早い回復力を見せたと、経験者は語る。
そして、切り傷で最も深かった経験を語り出した母。車のドアの端が目の上の皮膚に直撃し、ぱっくり切れたことがあったそう。
どうやってドアを開けたらそうなるのか想像しても分からないシチュエーションだが、母はこのときも30分親指で傷口を強く圧迫し続け、深い傷だったにも関わらず、縫わずに済んだことを得意気に教えてくれた。
ポイントは、親指らしい。1番気の力が強いから治癒力があるのだとか。
信じるか信じないかはあなた次第です。
1時間圧迫止血の末、夫が帰宅した。その頃にはかろうじて血は止まっていたが、下記のような欠けた米粒の中指が完成した。
あまりにも的確な例えを見つけられて非常に満足している。

こちらのイメージ画像(米粒)と全く同じ指になった。
痛みはまだ続いているが、止血できたことが嬉しくて、るんるんでジャガイモを揚げた。
前回の記事にも書いた通り、揚げ物初心者が故、ポテチは想像以上にさくさくに揚がらなかったので次回リベンジをしたい。

中には数枚ポテチらしいメンバーもいた
みなさんもスライサーをお使いの際は十分にご注意ください。
おわり