その日は突然やってきた。
パスポートの更新時期が迫っている夫がここ数日の間に書類の準備を始めた。
10年分の旅の思い出が詰まったパスポートとお別れするのだ。
パスポートの更新は、オークランド領事館まで出向く必要がある。
書類の準備が終わり、いつオークランドに行こうか?と、持ちかけると明日行こう。と、急遽弾丸でのオークランド行きが決まった。
自分でいうのも何だか、私は行動力がある方だ。やりたいと思ったことは考えるより先に身体が動くタイプで、そのおかげで失敗も良い経験も数知れず。
夫も自転車で世界を旅しちゃうような人なので行動力はあると思っていたが、実行に移すスピードは、私以上だと毎回感心する。
明日行こうか、という半ば冗談半分の言葉を真に受け、すぐにレンタカーとホテルの予約をしていた。
家から車で3時間近くかかるので1泊したいと提案したのは私だ。
オークランド行きが決まり、急に小旅行に行く気分で、限られた時間で行きたいレストランやお店を徹底的に調べ始めた。いつもホテルの予約は夫で、レストランの予約は私がしている。
今回は、美味しい日本食に飢えていたので、友人おすすめのCocoroというレストランを予約した。
タウランガに住んで、まだ数ヶ月の新参者が知らないだけなのかもしれないが、このエリアには日本人が経営する和食の店がない。寿司屋やジャパレスはほぼコリアン経営だ。きっと本格的日本食はこのエリアでは味わえないだろう。
(もしタウランガエリアに詳しい方がいて、日本食の美味しいお店があれば教えて頂きたい)
ということで、初日は夜の8時頃に無事オークランドに到着し、レストランへ。
なんというか、求めていた全てがそこにはあった。と言った感じだ。
木のぬくもりと、シックで清潔感のある広々とした店内。メニューも豊富でどれも魅力的なものばかり。
今回は、筍のグリルや揚げ出し豆腐、稲庭うどんなどを注文。
筍をニュージーランドで食べれるなんて感動だった。グリルされた筍に木の芽と、優しい甘みの味噌ペーストが絶妙だった。
これ!!!!求めていたのは、これです!!!
盛り付けも美しくて、味も繊細な日本食。
てっきり日本からの輸入筍かと思いきや、NZ産だと聞いておったまげ。現地でこんなに美味しい筍が取れるなんて。さすがに筍はね、、、と侮っていた。
上品な出汁とともに出てきたなめらかな絹ごしの揚げ出しも絶品だった。すりおろした生姜と大根おろしまで、、、。こちらでは、美味しい大根がなかなか手に入らないので、お久しぶりの大根おろしとの対面だった。
サービスも卒が無く丁寧で、ジャパニーズオモテナシを感じた。
食事が終わり、夜風にあたりながらお散歩してホテルまで戻った。
夫は足りなかったようで、スーパーで夜食のチーズパンを買って食べていた。
あんなに美味しい日本食を堪能したあとなのにと思ったが、言わずが安し。
2日目に続く。
おわり