ロックダウン15日目
今日で自宅隔離生活も2週間が過ぎた。意外とあっという間だった。日中は気分転換に湖へ出かけマットを敷いてしばらくピラティスのトレーニングに勤しんだ。美しい湖を眺めながらのエクササイズは贅沢だ。途中2匹のカルガモが異常に接近して来たので2メートルのソーシャルディスタンスを取るよう伝えた。カルガモにとってもコロナヴァイオレスの影響で観光客から餌がもらえなくなりカモ家庭に大打撃なのである。ある日突然町から人が消えたこの不思議現象に彼らも戸惑っていることと思う。
本日はシェアメイトママが生地からピザをつくっていた。またもやお裾分けをいただいた。夕飯を後悔するほど食べた直後である。しかしママお手製のピザを目の前にした瞬間、異次元の胃空間が現れた。これが丁度良い薄さで具沢山でめちゃ美味しいのである。
ピザが食べ物の中で一番好きだと熱く語るママに、イタリアのナポリへ行くことをおすすめした。学生時代イタリアンのバイトがきっかけで本場の味を求めてイタリアへ行って以来、大好きな国の一つになった。ナポリで食べた意味分からないくらい大きいディアボラpizzaやフレッシュトマトがふんだんに使われたポモドーロ、北イタリアのベルガモという小さな町で食べた絶品ポルチーニリゾットも全てが恋しい。一刻も早く世界中の人たちが安心して日常生活を送れるようになって、外食を楽しめるといいのにな。
昨日の話の続き。
3月17日のことである。エチオピアにいる夫から電話がかかって来た。次に入国予定のスーダンVISA取得にかなり手こずっているようだった。コロナの影響で進路変更も余儀なくされそうで、このまま旅を続けるのは難しいとのこと。いつも真面目な性格の夫だがその日はいつも以上に大真面目だった。対照的に私は楽天的すぎるので足して2で割るとちょうど良いといつも思っている。選択肢として日本に帰国するかニュージーランドへ行くかを迷っていると言うので、ニュージーランドに来ればいいんじゃない?と一言返したら、次の日の便でエチオピアからやって来た。素早すぎて忍者かと思った。
この即決、即行動が功を奏した。
なんと彼が到着した24時間後にNZの国境を封鎖するという政府からアナウンスがあったのだ。しかし彼が到着したオークランドでは、すでに2週間の自主隔離を義務づけられていたため再会は先延ばしに。そのわずか5日後4週間のロックダウンとなり現在に至る。
日本で例えると北海道と沖縄くらいの距離でそれぞれ生活している。同じ国(しかも母国ではない)にいながら別居生活をするという想像を遥かに超えるプラン変更を提供してくれたコロナヴァイオレスよ。君の名は孫の代まで語り継ぐことにする。
とりあえず今出来ることをそれぞれやろうということになり夫はビジネスを、私はブログとトレーニングを始めた。
個人の予想だが、ロックダウンが終わってもしばらくは国境を封鎖し経過を見るのではないかと思う。私の住む町は観光客のおかげで経済が成り立っているような場所なので突然の解雇宣告も覚悟しなければならない。そうなったら潔く身を引いてしばらく定住できる場所を求めてニュージーランド国内を旅する計画を実行するまでだ。
ニュージーランドに来てから、物への執着がなくなり必要最低限のお金で楽しく心地よく暮らせるここでの生活が自分にぴったりだと知った。すばらしい環境のおかげで将来に対するお金の不安が消えた。もちろん仕事をするのは前提だが働く時間は短く、稼ぐお金もそれに見合った金額で、自由な時間を沢山つくることにフォーカスしていきたい。その為の準備をこの隔離生活で進めている。
という訳でコロナが与えた影響は、無数のカルガモ、家なき私たち夫婦、世界の人々とはかり知れない。
1ヶ月後、私たちがどんな生活をしているか想像もつかないがそれすらも楽しみだ。そう思えるのは夫のおかげでもある。
死ぬこと以外はかすり傷。
この言葉を胸に夫との再会を楽しみに生きていく。
そして日本の家族や友達も心配だけれど、自宅隔離の日々を皆がSNSにアップしてくれているので普段の投稿(外食やイベント、アクティビティ)よりももっと身近にリアルに感じる。このままみんなが元気でお家時間を満喫した後、自然とコロナの存在が遠ざかる未来だと良いのにな。
おわり