夫とのロードトリップが始まった。
Queenstownから出発して、Mountcook、Christchurchに宿泊し、昨晩Nelsonに到着した。ここまで一人で運転してくれた夫には感謝しかない。私も次の帰国で運転免許を必ず取ると心に誓った。
夫は、QueenstownからNelsonまで自転車でたどり着いたあと、休むことなく再びQueenstownから車で再びNelsonまで連れてきてくれた。この短期間で2往復していることになるのだ。日本に例えると、青森から静岡間の距離だ。それに加えて自転車で走った道や街を覚えているので、既に道も予習済みで、どこの街に来てもこなれ感がすごい。
そんな旅4日目の今日は、Nelson中心部を観光した。まず目についた場所が動物園だった。世界の動物園に行くのが趣味と行っても過言ではないほど動物に特に詳しくない動物好きである。
対して夫は特に興味もないので、ついてきてくれるもののテンションは常にLowであり、異常にはしゃぐ私を冷静に見つめるor写真係と化している。
今日は、アルパカやヤギに餌をあげられる動物園ということで寄ってきた皆に平等に餌やりをした。動物と言えど、同じメンバーばかりに餌を与えているともらえない側としては悲しい気持ちになる気がして、ぐいぐいと前に出てくる自己主張が強めのメンバーにも動じず皆平等がポリシーだ。
南米から運ばれてきた様々な種類の珍しい猿たちを横目に、私がもっとも興奮した動物はミーアキャットである。
ここだけに全体の3分の1の時間を費やした。それだけ釘付けになり、彼らの視界に入ろうと必死にアピールする滑稽な変わり者の自覚はあったかと思う。
あまりにもミーアキャットコーナーに居座りすぎていたため、いつもは急かさない夫も、そろそろ帰ろうよと促してきた。
その後ひとりで街を散策しにとあるCafeへやってきた。そこである程度くつろぎ、お店を出ると1台のフードトラックが目に止まる。
Karaage屋さんだった。
最初は外国人がやっているなんちゃってフライドチキンだろうなあという予想をして店のそばまで行くと、あきらかに日本人のダンディなおじさんが運営していた。
ホンモノだな。と瞬時に悟り、からあげを購入したのをきっかけに、何故からあげ屋さんをしているのか気になり、彼に声をかけた。
KenjiさんはNelsonに10年以上前から住んでいて、以前は宿業をやっていたそうなのだが、あれこれ色々とあり、半年前からフードトラックのからあげ屋さんをオープンしたそう。
理由は主に2つ。
からあげが大好きだから。
NZでからあげを専門に売ってるお店がないと思ったから。
とてもシンプルだが実は事業をやる上でとても大切な2つのことをしっかり抑えているなあと感じた。
からあげ専門で商売している人がそこまでからあげが好きでなかったらなぜか少し悲しくなるし、ラーメンや寿司屋のようにNZでかなり普及しているフードトラックであれば目に止めずスルーしていた可能性があった。
ということは、その逆を行っているけんじさんの策略にドハマリしているのだ。
そして、私がけんじさんとの会話が進むにつれてぞくぞくと現地のお客さんがからあげを買いに来る。そしてみんなラージサイズを購入していく。
からあげというフライドチキンよりも味に深みがあって、美味しい。しかもジャパニーズフードの代表だったということを知った親日キウイの人々はさぞ感動したことだろう。
けんじさんのおかげで、今Nelsonでは確実にKaraageブームが来ていること間違いなしだ。
日本の女子高生がタピっているように、こちらの現地の高校生はからってるに違いない。
実際に食べてみて、日本のだいすきな大戸屋や母のからあげを思い出した。 頭の中でからあげセンサーが敏感に反応してドーパミン(やる気)が発生したことにより、気がつけば夫の分も追加で購入していた。
この美味しさは誰かと共感したいと思ったのだ。
そして、とてつもなく忙しいけんじさんの横でからあげを頬張りながら、Nelsonオススメのレストランや観光地を聞くあたりがほんとうに図々しい。
しかし彼は目の前のからあげと一生懸命向き合いながら、丁寧に私のために様々なレストランを教えてくれた。
けんじさんのおかげでNelson散歩が楽しかった。その後再び海岸沿いまでウォーキングをしたのだが夕日が綺麗で感動して、地球に感謝と、大きな声で謎の言葉を発していた。日本と比べると人口密度がはるかに低いこの国で、口笛を吹いたり熱唱することも度々許されてきている。感謝だ。
夕食はKenjiさんがおすすめしてくれたHopgoodsへ行くことができた。
期待通りの素晴らしいRestaurantだったが、Nelsonにからあげ屋さんというインパクトの強さが勝ったので、今後記憶の中の、Nelson思い出アルバムはきっと、からあげ屋さんのことでいっぱいである。
Kenjiさん、またからあげ食べにNelsonへ行きますね。
おわり