警戒レベル1 4日目
警戒レベルが1に引き下がったらずっとやりたいことがあった。そのうちの一つが現地の幼児教育施設の視察だ。
今日は以前から気になっていたアロータウンのモンテッソーリ園へと行くことにした。
事前アポを取らずに、直接交渉するのが私流。(ただ英語での電話が苦手なだけ)
さっそく園長ポジションの先生にモンテッソーリへの熱意を伝え、交渉を試みた。
しかし今日は、たまたまこどもたちが外出するスケジュールだったため、見学不可とのこと。
ありがたいことに、来週なら来ても良いわよ、と承諾してくれた。
このまま帰ろうかとも思ったが、バスで30分もかけて来たのだから近くの園にも行って交渉してみることに。
園庭にティーチャーらしき女性がいたので、簡単に自己紹介をして視察したい旨を伝えた直後、すぐに快諾してくれた。
さすが移民に対しても超寛容、かつフレンドリーなNZの人々!!
中に入って、環境設定、先生のこどもたちへの接し方、こどもたちの活動の様子をじっくり観察させてもらった。
3歳半から5歳までの30人ほどのこどもが通うこの園は、縦割りかつ4名の教師で運営している。
担当性ではなく4人で全てのこどもたちを預かるという体制だ。
ひとつの広いスペースに各遊びに分けられたブースが用意され、自由にのびのび遊ぶこどもたち。
外遊びも室内遊びも出入り自由なところが良いなと思った。
また、スナックタイムは外のテラスに出て、日の光を浴びながら食べる。遠くには美しい山と森が見える。
先生とこどもたちの距離感も程よく、それぞれで愉しんでいた。
私も図々しく紅茶をごちそうになった。
先生たちが、ヨーグルトを食べながらリラックスモードで談笑している姿が印象的だった。
NZの幼児教育で最も大切にされていることは、自由遊びだ。
Free playing is most important thing for children と言っていた。
教師は、こどもたちの興味があることを優先させるべき。
先生たちがこどもに何かを教えることが優先されるべきではなく、こどもたち自らが、遊びの中から学ぶ想像力、社会性や友人関係の構築の場だ。
知性や学問、協調性などは小学校に上がってから学び始めても遅くないと、教えてくれた。
私もその意見に賛成だ。
また、こんな場面が印象的だった。
私が施設内の写真を撮ることに夢中になって、そばにあったブロックタワーを倒してしまった。
大きな音がして、一瞬静まり返った室内。わたしが慌てながら謝り、修復しようとしたところ、、、
それまで各ブースで各々の遊びに熱中していた子どもたちが集まって来て、何を言う訳もなく黙々と修復を手伝ってくれたのだ。
私が、こどもたちに誰が作ったのかな?壊してしまってごめんね。と言うと、
数人の子が、気にしなくて良いのよ、大丈夫。
と、まるで大人がこどもをフォローするような口調で慰めてくれたのだ。
この状況は、まるで私がこどもだった。
普段から、何か失敗をした時に周囲の大人(親や教師)からそうやってフォローしてもらっているのだろうなと思った。
人の失敗を責めずにみんなでフォローし合える環境が、幼少期の頃から身近であり、彼女たちは教えられてやっている訳ではないのだろう。
ごく自然にしていた振る舞いに、感心せずにはいられなかった。
またNZの幼児教育を語る上で欠かせない、ラーニングストーリーもとても興味深かった。
これは1ヶ月〜3ヶ月ごとにこどもたちの成長を記録したもので、ファイリングされたものが、絵本コーナーのそばに置いてあった。全てのこどもたちの記録を親、教師、こどもたちが閲覧自由になっている。
日本だと、連絡ノートのようなものが近しいが、親と教師間のやりとりのみだ。
ラーニングストーリーのいい点は、こどもたちが、先生がどのような点を評価してくれ、見てくれているのかを定期的に知ることができるのだ。
内容は、こどもの興味感心があること、なかよしの友達について、何を伸ばそうと努力しているかなどが記されていて、まるで一つの物語を読んでいるかのような温かい気持ちになる。
というのも、先生はこどもに語り口調のような文体で、
写真とともに、こどもたちの実際の声(友人間の会話や先生との会話)も記録しているのだ。
○○ができた、○○が優れているなどの結果や能力だけにフォーカスせず、過程を大切にしているのが分かる。
このラーニングストーリーを実施している園は、NZでおよそ90%にもなるそうだ。
こどもたちがこのラーニングストーリーを私に見せながら、説明してくれる姿がとても愛おしかった。
自分のことを客観的に知り、ともだちのこともよく知ることができて良いなとシンプルに思った。
まだまだ紹介したいことは沢山あるが、今後も視察を続ける中で総合的にまとめたことを記事にしたいなとも思っている。
おわり