更新が大分滞ってしまっていた。
先日の続きをかいていく。CoplandTrackは片道7時間のジャングルをひたすら歩き、その先にあるWelcomeHutという小屋を目指して朝8時半にスタートした。
このコースはアップダウンが激しくないものの、時に川を渡り、金網でできた脆い吊り橋を渡り、岩登りをしたりとせわしなく変わる情景に感動しながらも、気を抜く暇がない道も多かった。
友人が、道は人が歩くからつくられる。わたしたちもここを歩いて道をつくっているという話に、ロマンを感じずにはいられなかった。
私のあとにここを訪れる人たちのためにも地面をしっかり踏みしめて道を固めなければ、という謎の正義感まで生まれた。
片道7時間を5キロ以上のバックパックを背負って歩くのは初めてだった。
初心者ながら、見た目だけが登山家のような格好でさまになっていそうだなと勝手に浮かれていたのはこの私だ。
腰にあるベルトが最強説。肩が疲れない。日々体幹鍛えて置いて良かったと思えた。
皆でたわいもない会話をしながら時に歌をうたい、無言でひたすら歩く時間が続いた。
舗装されていない道も多いので、頭の中がお花畑状態だと容易に足を踏み外して大怪我になりかねないので、次の一歩はどこに足を置くかを常に考えながら歩いていた。真面目に歩くこともできるんだなと新たな自分に出会った。
まさに歩くために歩くという瞑想状態に近いような感覚で、頭の中はどんどんクリアになっていった。
ジャングルのような森林は静まり返っており、私たち人間以外何も存在していないかのような静かな情景が続く。
神秘的で神聖な場所にいるような気持ちだった。日本でいう沖縄の久高島のような。
鳥の鳴き声もほとんど聞こえず、虫やトカゲなどにも遭遇しない。ここが亜熱帯だったら、猿や蛇や猿が出没したりしたりしてスリルあるんだろうなと思った。動物大好きな身としては、ニュージーランドは動物の種類が少なすぎて心なしか寂しいのである。ジャングルだからという固定概念がある故、動物や鳥の存在を求めてしまっていた。
ちなみにNZは少し車を走らせて田舎道になると電波が届かない場所が多いので、デジタルデトックスをするのも簡単だ。
今回は2日間電波のないところにいたのでなかなか良いデトックスになったかと思う。
中間地点でお昼を食べたのだが、それまで薄着でも熱くてしかたなかった身体は立ち止まって食事をするという行為になった途端急激に冷え始めた。まったりヨガマットを敷いてランチタイムだあ。などと言っている場合ではなかった。
ゆっくりおにぎりやパンを味わう時間も取りたくないほど寒かった。
再び歩き始め、午後3時頃に宿泊予定のHutに到着。
7人1部屋で、分厚いマットレスが7つ敷かれていて、いたってシンプルな小屋だ。
水は雨水を溜めたタンクから使用可で、電気ガスはもちろん通っていない。暖炉やロウソクがあるだけで感動した。
今回の1番の目的と言っても良い、Hutのそばにある自然が生み出した楽園。
温泉(ONSEN)が私たちの原動力となっていたのは言うまでもない。
常に温泉のためにがんばろう。と自分たちを励ましながら歩き続けていたのだ。
瞑想歩きと言っておきながら邪念はしっかりあったとも言える。
この秘湯が、とんでもなく素晴らしかった。
何がと聞かれると全てなのだが、匂いのない泉質で、温度も40度ほどで適温。温泉から見渡す連山と森の大パノラマは、言葉では伝えきれないので写真で実感していただきたい。
人生で初めて4時間というとんでもない長湯を経験してしまった。
温泉にワインやおつまみスナック、みかんを持ち込んで食べたり、夕焼けから星空に変わっていく空をぼーっと眺めたり。
明日から何か不運なことが続くのではないかとおびえてしまうほど、こころが満たされ、開放感に満ちた時間だった。
一言で、ただただ幸せだった。
お恥ずかしい話だが、こんなに星が綺麗なNZにいるにもかかわらず、星について無知すぎたあまり、空を見上げても綺麗だなと思うことしかなかった。
しかし今回は、天の川がくっきりと空一体を覆うように輝き、南十字星とケンタウロスがどの星なのかも、しつこいほど繰り返し質問をして、友人に教えてもらったおかげで、3つの星を覚えることができた。
灯りもない露天温泉には、水面に星や山が反射して写り、それは美しくて感動しっぱなしだった。
そこには天然の寝湯ができる浅めの温泉もあり、朝まで行けるなと本気で思ったが、名残惜しくも4時間ほどで宿に戻ることにした。
写真好きで星にも詳しい2人がこんなにも天の川が綺麗に見えることはそうそうないと興奮していたので、どうやら本当に素晴らしい天の川であったことには間違いなさそうだ。
こんな場所に来れたのも、運転をしてくれたKさんと、このHutを知人から教えてもらって、誘ってくれたHちゃんのおかげだ。
ありがとう以上の言葉があったら捧げたいが、とにかくありがとう。
翌日も来た道をひたすら歩き、無事怪我なく帰ってくることができてよかった。
また必ず行きたい素晴らしいトレッキングコースと秘湯付きの Hutだった。
ただひとつ言いたいことは、サンドフライについてだ。
知らず知らずのうちに何カ所も刺されていたようで、帰宅後のシャワーで刺された跡だらけになっていた身体を見て萎えた。彼らは年中いるそうなので、肌出しと温泉から出た瞬間に何かをまとうことだけは強くおすすめする。
おわり