警戒レベル2 15日目
今日は夫のリクエストに応えてカレーをつくった。
カレーにはちょっとしたこだわりがあるので、私の中ではやや行程の多い手の込んだ料理の位置づけにある。
鶏肉はあらかじめカレースパイスと蜂蜜、ヨーグルトでもみ込み冷蔵庫で寝かしておく。すると煮込んだ時に驚くほど柔らかく仕上がるのである。早くも2日目のカレーが待ち遠しい。
私には、ずっと行きたかった場所がある。
それがこちらの、Kiwi Bird Life Park である。
動物好きとしては一度訪れたいと思っていたのだが、なかなか入場料が高く渋っていた。
しかしコロナの影響で期間限定の50%OFFとなっていたので満を持して予約。
指定の朝9時半から、夫に付き合ってもらい行って来た。
ニュージーランドの国鳥と言えばKiwiだが、彼らは完全なる夜行性のため、未だにワイルドキウイを拝めていなかった。
ここのバードパークでは、Kiwiの保護活動に力を入れており、体重が1キロほどになると自然界へ戻しているのだそう。
Kiwiの天敵オコジョによる補食から逃れるために、ある程度大きくなるまで安全な環境で育てるのが理由の一つなんだとか。
さっそくKiwiを観察するため、彼らの家であるKiwiハウスへ。ここでは、室内を暗闇にすることで昼夜逆転にし、日中でも活発に動き回るKiwiを観察できるようになっている。もちろんカメラでの撮影は禁止で、静かに見ることが義務づけられている。
ここでひとつ問題が発生。
Kiwiファーストなあまり、暗すぎるKiwiハウスではKiwiがくっきり見えないのだ。だんだんと目が慣れてくるとは言え、視力が弱いひとにとってはただの暗闇ハウスと化してしまう。眼鏡orコンタクト必須な場所だった。
また10時から大々的に告知されていたKiwiへの餌やりイベントを愉しみにしていた。
Kiwiについてあれこれ説明された後、飼育員のおにいさんとともに暗闇のKiwiハウスへ行く。
お兄さんが展示コーナーの中に入り、餌をそっと置く。
Kiwiたちは見向きもせず餌に近寄ってくることすらなかった。そもそも暗すぎて、Kiwiがどこにいるのかも見えなかったという方が正しいのかもしれない。
終了。
という流れであった。
わたしのイメージしていた餌やりとはほど遠かった。
あくまでこちらの都合で餌をあげるのだから、kiwiの気分で食べないという当然の結末まで想像できていなかったのだ。
ここの活動は野生に返すことが最終目標なので、極力野生環境に近づける配慮が至る所で伺える。
なので例えkiwiハウスが暗すぎてKiwiが見えなかろうと、餌やりでkiwiが寄って来なくても良いのだ。
どこまでも動物に寄り添う徹底した環境に感動すら覚えた。
余談だが、ニュージーランドにはkiwi husbandという言葉がある。それは家事をこなすのが上手な夫への賞賛の言葉として使われるらしいのだが、その言葉の由来はKiwiの習性を知ってより明確になった。
雌がタマゴを産んだあと、ヒナが孵るまでの80日間は雄がタマゴを温め続けるそうだ。
夫婦でうまく役割分担ができている鳥なのだと感心した。
ここの施設は、他の鳥たちの展示にも配慮があった。とても広い展示スペースに同じ種の鳥が1〜2羽しかいない。
ニュージーランドは一人当たりの保有面積が大きければ、鳥一羽の保有面積も同等に広めなのだと気がづいた。
人口密度が世界でトップ5に入る、東京の上野動物園の鳥たちとは比べてはいけないのだ。
固有種のMoreporkというフクロウは、270度首が回るらしい。小柄でとてもかわいらしかった。
モアポークという鳴き声からこの名前になったらしい。至ってシンプルである。
夫は何故かMoreporkを直訳し、真面目な表情で、もっとブタって意味の鳥かな
という天然炸裂発言をしていたのが印象的だった。
先日のベンロモンドの山頂にて、友人のナッツを袋ごと横取りしていったKeaもいた。
彼らは霊長類に並ぶほど知能指数の高いオウムらしい。いたずらが大好きで、山頂付近に生息する彼らは、隙を狙っては、ハイキング用ブーツをばらばらに解体してしまうこともあるらしい。かわいいいたずらの域を遥かに超えた、悪質ないたずらっ子である。
ただ眺めている分には、つぶらな瞳で色鮮やかなグリーンとオレンジの翼が美しい人馴れしたオウムだった。
短い時間ではあったがニュージーランドでしか見られない固有種を観察することができてとても楽しい時間であった。
おわり